Liou+Princess (王宮夜想曲)


 夜半から降り出した雨は勢いを増し、いつの間にか嵐へと変わっていた。
 大地を激しく叩きつける雨音と腹の底に響くような雷鳴をぼんやりと耳にしながら、今夜何度目になるか分からない寝返りを打った。

 ――眠れない。

 だけどそれは、この荒れた天候がもたらしている騒音が原因なのではないということも分かっている。
 一族の子どもたちが雑魚寝するこの大部屋で、僕以外の子どもは皆、昼間の過酷な訓練疲れから、耳をつんざくような雷鳴をものともせずに、泥のように眠りこけている。尤も、僕たちは何か異変が起こったなら即座に目を覚ませるよう訓練されているけれど。
 おそらく今起きているのは僕だけだろう。
 再び瞼を閉じ、心を無にして意識を手放そうとするけれど、そうしようとすればするほど、僕の意識はより鮮明になっていく。まんじりとも出来ない。僕は小さくため息をつき、無理に眠ろうとすることを諦めた。
 まわりの子どもたちを起こさないように静かに起き上がると、今まで自分が使っていた、たった一枚だけ与えられている粗末な毛布を握り締め、地下へと向かう。
 今夜は少し肌寒いから、あの少女も毛布一枚ではきっと不自由しているだろう、だからこの毛布も貸してあげよう――そう思ったのは、ただの口実だと自分でも気がついている。
 本当は今、一人眠れぬ夜を過ごすのが嫌だったのだ。そして、何故かあの少女の顔が思い出され、実際に彼女の顔が見たいと思ったのだ。あの少女が傍にいれば、嫌なことが忘れられるのではないか。何の根拠もないのに、そう思ったのだ。

 少女が捕らえられている部屋に足を踏み入れたとき、闇の中で僕が見たものは眠っている少女の姿ではなく、床の上で小刻みに震えている小さな丸いもの。
 僕たちは夜目が利くように訓練されているから、少し目を凝らすだけで、それが何かはすぐに分かった。少女が体を丸めて毛布にもぐりこみ、床に這いつくばったまま震えていたのだ。
 やはり毛布一枚では寒かったのか。
 蝋燭一本の灯りもない漆黒の闇が怖いのか。
 一人でいるのが心細いのか、家族のことが思い出されて辛いのか。
 あるいは、その全てか。

「姫」

 少女が恐る恐る毛布の中から顔を出したのと、大地を揺るがせるような轟音が僕たちの鼓膜を振るわせたのはほぼ同時のことで、その瞬間、甲高い少女の悲鳴が上がった。
 毛布を目茶苦茶に振り払い、少女が悲痛な顔をして僕の胸めがけて飛び込んでくる。
 その突然の行動に驚き戸惑いながらも、それを避けることはせずに、少女の体を正面から受け止めてやれば、ぼすっ、と音を立て、華奢な体が僕の中に収まった。
 必死に僕にしがみつき、僕の肩口に顔を埋めて震えている少女の様子をしばらく無言で眺め、ぴったりと押し付けられた少女の体からダイレクトに伝わってくる早鐘のような心音を聴いてようやく、僕は少女のこの状態を理解した。

「……もしかして、雷が怖いの?」

 今は声が出せる心理状態でないのか、少女は言葉では何も答えなかったけれど、僕の腰に回された手にますます力が篭ったことで、僕はそれを肯定と受け取った。ここには雷を怖がるような繊細な子どもはいないから、そんなことは思いつきもしなかった。
 少女の姿はまるで親鳥にしがみついて離れない雛鳥のようで……知らず、微苦笑がもれていた。僕は少女の体を包み込んだまま、その背をぽんぽんと叩いていた。少女を安心させるように、あやすように。大丈夫だよ、雷はすぐに収まるから、と言葉でも励ましながら。
 僕の言葉に小さく頷きながら、それでも身を固くして震えている少女の手を引いて、とりあえず僕たちは壁際に移動した。僕が持ってきた毛布を床に敷き、その上に少女を座らせ、そこに僕も一緒に腰を下ろす羽目になったのは、少女が僕にしがみついたままどうしても離れてくれなかったからで。
 結局僕たちは二人身を寄せ合って、少女が使っていた毛布にくるまれることとなってしまったのだが……少女が身じろぐたびに仄かな甘い香りが僕の鼻腔をくすぐって、僕を不思議な気持ちにさせた。
 雷が鳴るたびに身を竦ませる少女を、僕はそのたびごとに抱きしめて、大丈夫だよと囁き続けた。僕らしくないことをしている自覚はあった。今までにも何度か攫われてきた子どもの世話係をしたことがあったけれど、この少女にしているような接し方をしたことは一度もない。あくまでも事務的に、それこそ食事を運んで彼らが逃げ出さないか見張る程度で、慰めるどころかまともに会話を交わすことすらなかったはずだ。
 それなのに、どうしてこの少女にはこんな接し方をしてしまうのだろう。僕の身を気遣って、僕の腕をさすり続けてくれたことに対する礼のつもりなのだろうか――と考えれば、たぶんそれだけではない気がした。ならば、ただ単に、僕はこの少女に優しくしたかったのだろうか、それとも僕のほうが、彼女に触れていたかったのだろうか。

 答えは出ないまま、ゆるやかに時間は流れていく。雨がやむ気配はまだなかったけれど、雷のピークは過ぎたのだろう、腹に響くような轟音は、もはや聴こえてこない。
 雷鳴が遠ざかるとともに少女は徐々に落ち着きを取り戻し、だけど僕の手はいまだにしっかり握ったまま、安心しきった様子で僕の肩にその身をもたせかけていた。時折僕の頬にかかる少女の髪が、少しくすぐったい。

 なんとなく少女と話してみたくなって、だけど何を話していいかもよく分からないままに、僕は口を開いていた。

「雷、止んだみたいだよ」
「うん」
「本当に苦手なんだね」
「だって、神様に怒られてるみたいで、すごく怖いもの」
「神様に怒られてる、か。面白いことを言うんだね。でも姫は神様に怒られるような悪いことはしてないでしょう?」

 ――僕たちとは違って。

 雷が神の怒りであるのならば、この雷は間違いなく僕たちを狙って落とされたものだ。それなのに、本来怯えさせなければならないはずの僕たちは何も怯えることがなく、代わりにこの純真無垢な少女を怯えさせているのだから、神様とやらは相当な間抜けだな……などと、くだらないことを考えていた僕の横で、少女の顔がふと曇る。

「姫?」
「…………たから……」

 身を摺り寄せているのに聞き逃してしまうほど弱々しい声で、少女が何かを呟いた。
 ごめん、聴こえなかった、と訴えた僕に少女は一瞬口ごもったけれど、伏目がちに視線を床に落とし、やはり小声で、だけど今度はちゃんと僕の耳に届く声で呟いた――今日、泣いちゃったから、と。

「……泣いちゃいけないの?」
「うん。ダメなの……」
「どうして?」

 素朴な疑問だった。僕たち一族の者は、泣くという行為は恥ずべき、唾棄すべき行為だと思っている。涙は弱さの証だからだ。
 だけど、この少女は違うだろう。自分の感情を押し殺すこともなく、ありのままの自分を常に表に出すことが許される場所で、実際にそのように生きてきたはずだ。

「姫とカインが泣くとね、いつもエドガーに叱られるの。姫とカインだけは、人前でブザマに泣いちゃいけないんだって。それが姫とカインのギムなんだって」

 その内容を把握するより先に、少女が自分のことを「姫」と呼んでいることに、一瞬まさかと思ったけれど、すぐさまその考えを打ち消した。本物の王女であれば王宮にいるはずで、アーデンを夜一人でうろついていたはずがない。それに貴族の娘であれば、自分のことを「姫」と呼ぶのも、案外ありがちなことなのかもしれない。ましてや彼女のように、世の常識をよく理解できていない子どもであれば。

「お父様とお母様も、エドガーと同じことを言うの。『姫は、お父様とお母様とカインの前でしか泣いちゃいけませんよ』って」

 ますます表情を曇らせ、少女が言を継ぐ。

「お父様たちは……優しいから……姫が泣いても……エドガー、みたいにっ……怒ったり、しない、けどっ………」

 家族の話をするうちに、気持ちがこみ上げてきたのだろう。あ、と思った時にはもう、少女の琥珀の瞳が潤みきって、今にも雫が零れ落ちそうになっていた。今そこに軽く息を吹きかけただけで、間違いなくその雫は零れ、頬を伝ってしまうだろう。
 だけど少女は唇を強く噛み締めて、それを堪えようとしている。家訓なのか何かは知らないが、少女は周囲から「人前で涙を見せるなかれ」と教えこまれ、幼いなりにそれを遵守しようとしているようだ。
 そして刃物を投げつけられたときに一度、不覚にもその教えを破ってしまったから、二度目を自分に許すまいとしているのだろう。本気で雷に怯えていながら、目尻に涙を光らせながらも決してそれを零さなかったのは、それゆえか。
 こんなに頼りなげなのに、少女の芯の強さを見たような気がした。素直にそれに驚き、それを快いと思った。
 だから、僕は――。

「ここには僕以外に誰もいないから、泣いてもいいよ」

 そんなことを口にしていた。
 少女が縋るような、だけどためらうような視線を向けてくるから、僕はいたわるような笑顔で彼女を後押しした。

「もう我慢しなくていい。僕は何も見なかったことにするから大丈夫だよ。なんなら、部屋の外に出ていようか?」
「…………」
「大丈夫。今泣いても、ちっとも無様じゃないから」
「……ほんとに?」
「本当に」
「……みんな、怒ったりしない?」
「うん、怒ったりしないよ。きっと皆、許してくれる」
「……ほんとにほんと?」
「本当に本当だよ。……今まで我慢して、えらかったね」

 一人でよく頑張ったね――。
 そう付け足して少女の頭をそっと撫でた時、それを合図にしたかのように、大きく目を見開いた少女の瞳からぽろりと大粒の涙が零れ落ちた。途端に少女の顔が頼りなげに歪んだかと思うと、小さな嗚咽が、その喉から、後から後から溢れ出る。
 ひとたび涙の堤防が決壊してしまえば、あとは両の頬を伝って涙がとめどなく流れ落ち……少女は僕の胸に顔を埋め、堰を切ったように泣き出した。お父様、お母様、カイン……と何度も何度も家族の名を呼びながら。
 少女の涙が僕の服に染み込み、僕の素肌までを湿らせても一向に気にならず、僕は、泣いて泣いて泣き続ける彼女を撫で続けてやった。普段の僕ならば、涙する子どもを呆れはしても、褒めることなど有り得ない。ましてや素直に泣いてごらん、などと口走るなど、それを口にした僕自身が一番驚いているほどだ。
 少女に対し、随分と甘いことを言っている自覚もあった。だけど僕が少女に言った言葉にも、そこに込めた気持ちにも、偽りは一切なかった。
 人前で泣かないことを実践しているのは、なにもこの少女に限ったことではなく、一族の子どもにしても同じだ。けれど、やはり彼女は僕たちとは決定的に何かが違う。
 少女が必死に涙を耐えている様が、その精神が、ひどく気高く崇高なもののように思えたのだ。
 彼女を心底眩しいと思った。そんな少女に、僕は魅せられたのだ。
 だから僕は、僕らしくない甘いことを口にすることを、そして本来ならば僕には必要のない優しさを持つことも、今だけ、自分に許した。

 子は親を映す鏡だという言葉どおり、少女の持つ美徳は実際に親譲りなのだろう。身も心もこれほどまでに健やかな少女を生み育んだ両親とは、きっと愛情深く、誠実で、高潔な人物に違いない。少女が家族を求めて泣いているように、彼女の家族も、今頃半狂乱になって愛娘を探しているのだろうか。

「君のご両親はきっと、優しくて、素晴らしい人なんだろうね……少し、羨ましい気がするよ」

 誰に聞かせるつもりもなくぽつりと独りごちた僕に、少女が顔を上げ、不思議そうに僕を見たのだが……少女は泣くことに夢中で僕の言葉など耳に入っていないだろうと思っていたから、僕は少し驚いた。

「お父様とお母様はとってもお優しいわ。……あなたのお父様とお母様は、違うの……?」

 心底不思議そうに尋ねてくるのは、この世に親から愛されない子どもがいるなどと思いもしないから。
 それは愚かなほどに無知で、僕たちのような立場の者からしてみれば、ひどく傲慢なことを口にしているのだと思う。だけど不思議なことに、僕は少女に対して純粋に羨ましいとは思っても、腹立たしさとか妬ましさとかいう不愉快な感情を抱くことは一切無かった。
 この少女はたしかに無知だけれど、悪意というものを持ち合わせていないということを知悉していたからかもしれない。それに図らずもこの話を振ってしまったのは自分であり、少女を咎める筋合いがないのを分かっていたから。
 だから僕は、ちょっと困ったような顔はしたけれど、穏やかな口調でそれを話すことができた。

「僕には両親がいないから」
「……お亡くなりになったの?」
「さあ、生きているかもしれないし、死んでるかもしれない。僕は捨て子だから、親のことは何も分からないんだ」
「……『すてご』?」
「そう。お父さんとお母さんから、『いらない』と言って捨てられた子どもって意味だよ」

 苦笑するように教えてやれば、次の瞬間、少女は途端に顔を強張らせ……大きく目を瞠ったと思ったら次の瞬間にはまた新たに大粒の涙を零し始めるのだ。
 止まることを知らず後から後から涙が溢れ、そしてそれはぼろぼろと床に零れ落ちては下に敷いていた僕の毛布に点々とシミを作っていく。
 それは少女が自分のために流している涙ではなく、僕のために流している涙であることは疑いようがなくて――。

「どうして君が泣くの?」
「だって……そんなの悲しいわ。姫は、捨てられるのはイヤ……お父様とお母様に『いらない』なんて言われたら……姫なら、そんなの……」

 今度は僕が目を瞠る番だった。まるで自分のことのように涙を流し続けながら、少女が両手を差し伸べるように、その両の手で優しく僕の頬を包み込んだのだ。
 子ども特有の高い体温なのか、それとも少女の心が染みこんで来るのか……僕の冷えた頬にそれはとても心地良くて……僕はそれに酔いしれるかのように目を細めた。
 そして――。

「あなたは一人で頑張ったのね。ずっと我慢して、えらかったのね」

 そう言って、少女は僕の頭を優しく撫で始めたから……息が詰まりそうになった。

 さっき僕が少女に言ったこと、したことを、少女がなぞっているだけだということには気づいていた。だけど、僕の台詞や行いを借りていたとしても、そこに込められている想いは紛れもなく少女自身のもので……この少女が僕を思って涙していることは、切ないほどにこの身に伝わってきたのだ。

「みんなには内緒にするから、泣いてもいいわ?」

 そう、少女に言われた時――何が起こったのかを考える間もなく、不意に、胸の奥から何か熱いものがこみ上げてきて………気づいたときには、僕の頬をほんの一筋、温かいものが伝っていた。
 ――涙。
 まさか、と思った。
 恐る恐る頬に触れてみれば、やはり頬を伝う雫が僕の指先を濡らす。

 一族で育てられ、どんな過酷な訓練にも、どんな激痛にも、涙を流すことなど無かった。涙など、出なかった。
 他人から自分の境遇を同情されたいなどとも、思ってもいない。誰かから慰められるなど、まっぴらなはずだ。
 それなのに、僕の頬には今確かに一筋の涙が流れ、そして今僕は、とても暖かい何かに包み込まれている。たとえるなら春の日差しのような――。

 僕は心の底では誰かに慰められたかったのだろうか。
 誰かに優しくされたかったのだろうか。
 誰か一人でもいいから、僕のことを案じてくれる人が欲しかったのだろうか。
 だけど、それを自覚すると自分が弱くなってしまうような気がして、それを認めるわけにはいかなかった。僕の最後のプライドがそれを許さないような気がしていた。

 ――だけどこの時だけは、少女のぬくもりに包まれたまま涙したいと思う自分がいた。

 僕の中の澱みは完全に消え去ったわけではないけれど、それはいつしか薄れ行くだろう。
 何らかの折に思い出した時にのみチクリと痛む、そんな、小さな棘ほどの痛みに変わるのだろう。

 僕は少女の体を一度だけ強く抱きしめて、一言だけ、呟いた。
 ありがとう……、と。
 それは心からの言葉だった。
 そして少女は、それ以上は何も言わず……何を言っていいか分からなかっただけかもしれないが、その後もずっと僕を優しく撫で続けてくれたのだった。



 ■□■



 その後、僕は少女をアジトから連れ出し、彼女が攫われたという場所まで送り届けた。
 どしゃぶりの雨に少女を濡らすのは忍びなかったけれど、僕の狙い通り、この雨音が僕たちの足音を掻き消し、僕たちが辿った痕跡の全てを洗い流してくれた。

 ――君を家族のもとに帰してあげるよ。

 僕がそう告げた時の少女は喜びを表すより先に驚き、困惑した様子で「怒られない?」と訊いてきたのだから、僕は苦笑するしかなかった。こんな時まで僕のことを案じてくれるなんて、純真どころか底抜けのお人好しだ、と。こんな調子では、いつか誰かに騙されて、痛い目を見るのではないか、と、少々不安を覚えたほどに。
 だけどこの愛すべき無垢さが今の僕にはとても嬉しかったのだ。
 少女を安心させるために、僕なら大丈夫、心配しないでと笑ってみせたけれど、おそらく僕には酷い折檻が待ち構えている。
 だけどそんなことはどうでもよかった。この少女の清らかさを守れるのならば、僕の身を案じてくれた唯一の人を守れるのならば、僕はどんな痛みにも耐えられる。

 最後に一度だけでいい、少女に僕の名前を呼んでもらいたいと思ったけれど、僕は少女に名を告げることはしなかった。彼女は僕の名前どころか、僕の存在そのものを記憶から消し去ってしまわねばならないのだから。
 攫われた悪夢など、忘れてしまえばいい。
 そして僕は、名乗ろうとする少女を遮った。もしも今後、標的の名前に少女と同じ名を見つけてしまったならば、僕の切っ先が鈍ってしまうかもしれないと思ったから。
 ――君は「姫」。それでいい。


 ――さようなら、姫。
 僕のために泣いてくれてありがとう。
 君は僕を忘れなくてはいけないけれど、僕は君を忘れない。
 僕への誕生日の贈り物は、もしかしたら君だったのかもしれない。

 こんな感傷的な気持ちは今だけだ。
 すぐに僕は、いつもどおりの僕に戻らなくていけないけれど。
 あと少し、もう少しだけ、少女がくれた暖かいものに浸っていたかった。



 ――さようなら、僕のお姫様。
 君が僕を忘れても、僕は絶対に君を忘れないから……





昔語り

(2006/04/02)





inserted by FC2 system